腎機能障害とコロナ重症化
8/16/2022 10:00:03
新型コロナ
今日のポイント:腎機能障害とコロナ重症化は関連あり
腎機能とコロナ重症化の関連を示す報告はこれまでにも海外で報告されていますが、今回国内からも同様の発表がありました。(Clinical and Experimental Nephrology、6月3日掲載)

国内8病院の入院患者のデータを用いて後ろ向きに研究しました。対象は、2020年2月5日から同年末までのコロナ入院患者のうち、データ欠落がない500人(平均年齢51±19歳、男性61.2%)としました。また、推算糸球体濾過量(eGFR)60mL/分/1.73m2未満または尿蛋白1+以上を腎機能障害と定義しました。以下結果です。
- 上記腎機能障害の定義には171人(34.2%)が該当し、重症化リスクは、院内死亡、体外式膜型人工肺(ECMO)や人工呼吸管理による治療、ICU入室発生率で評価しました。
- 事象の発生率は全体で12.0%となり、腎機能障害を有する群の方が有意に高くなりました(25.2対5.2%、P<0.0001)。それぞれ、院内死亡(12.3対1.2%)、人工呼吸管理(13.5対4.0%)、ICU入室(18.1対5.2%)は、腎機能障害を有する群の発生率が有意に高くなりました(いずれもP<0.0001)。
- さらに、腎機能が高度に低下しているほど事象の発生率が高く(eGFR60以上で8.3%、45~59は20.7%、45未満は32.6%、P<0.0001)、尿蛋白レベルで評価した場合も結果は同様でした(尿蛋白陰性または±で6.9%、1+以上では29.3%、P<0.0001)。
- その他予後に影響を与え得る因子(年齢、性別、高血圧・糖尿病・脳血管疾患・心血管疾患・慢性閉塞性肺疾患の既往、免疫抑制状態、血清アルブミン、CRP)で調整を行った場合でも、入院時の腎機能障害がコロナ重症化に有意かつ独立して関連していることが判明しました(オッズ比(OR)2.35(95%信頼区間1.14~4.86)、P=0.02))。
以上のような報告から、入院時の腎機能障害の程度は予後を予測する一つの指標になり得るのではないかと考えられます。
今後はさらに他の予後予測マーカーなどと組み合わせることで精度の高い予後評価ができることを期待します。
参考:Chronic kidney disease and clinical outcomes in patients with COVID-19 in Japan | SpringerLink
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