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寝室の明るさとうつ症状、肥満

12/8/2022 10:00:03

メンタルヘルス

今日のポイント:明るい寝室は、肥満、脂質異常、全身性炎症、うつ症状、睡眠障害と関連あり
 

寝室の明るさと健康指標を研究した論文を紹介します。奈良県立医科大学からの報告です。(Environmental Research、2022年9月21日)

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奈良県に居住する40歳以上の一般成人3,012人を対象とする大規模な疫学研究であり、照度計を用いて2日間にわたり睡眠中の寝室の明るさを測定しました。解析対象は、照度計の設置位置が適当でないと判断された対象者などを除く2,947人(平均年齢69.3±7.8歳、女性60.6%)としました。睡眠中の寝室照度の中央値は1.0ルクスで、照度の四分位値で全体を4群に分類すると、第1四分位群は0.2ルクス未満、第2四分位群は0.2~1.0ルクス、第3四分位群は1.0~4.0ルクス、第4四分位群は4.0ルクス以上でした。

  • 睡眠中の寝室照度が明るい群ほど、BMI、腹囲長、中性脂肪が有意に高値で、HDL(善玉)コレステロールは有意に低値でした。
  • 同様に照度が明るい群ほど睡眠障害(ピッツバーグ睡眠スコア6点以上)やうつ症状(老年期うつ尺度スコア6点以上)の割合が有意に高くなりました。
  • これらの健康指標に影響を及ぼし得る因子(年齢、性、喫煙・飲酒・運動習慣、収入、教育歴、入床時刻、就床時間、睡眠薬・抗うつ薬の使用など)を調整した多変量解析でも、睡眠中の寝室の明るさがさまざまな健康リスクとなっている可能性が示唆されました。
  • 第4四分位群(最も寝室が明るい上位25パーセント)は第1四分位群(最も寝室が暗い下位25パーセント)に比べて、BMI(P=0.007)、腹囲長(P<0.001)、LDL(悪玉)コレステロール(P=0.015)が有意に高く、睡眠障害の割合も有意に高くなりました〔第4四分位群ではオッズ比(OR)1.43(95%信頼区間1.14~1.79)〕。
  • さらに、10ルクスをカットオフ値として二群に分けて比較すると、寝室の明るさが明るい群は前述の指標に加えて白血球数が高値(P=0.041)で全身性炎症の亢進が示唆され、また、うつ症状を有するオッズ比が有意に高くなりました(P=0.047)。

 
以上より、寝室は必要以上に明るくしない方が健康には良いのかもしれません。


参考:Associations between indoor light pollution and unhealthy outcomes in 2,947 adults: Cross-sectional analysis in the HEIJO-KYO cohort - ScienceDirect

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