持ち家vs.賃貸住宅、高齢者死亡リスクとの関連は?
7/2/2024 10:00:05
今日のポイント:持ち家居住の高齢者が最も死亡リスク低い
高齢者のうち、持ち家居住者と賃貸居住者で死亡リスクに差があるのか調査しました。東京大学と千葉大学からなる研究チームからの報告です。(Scientific Reports誌、2024年3月30日号)

研究チームは、9市町村の4万4,007人の高齢者を2010年から約9年間追跡し、居住住宅の種類と死亡リスクの関連を検証しました。わが国の自立した65歳以上の高齢者を対象としたコホート研究である日本老年学的評価研究(JAGES)を利用し、回答者4万4,007人について、2010~19年まで9年間追跡調査を行い、死亡率を分析しました。居住期間は質問票により定義し、死亡率のハザード比の算出はCox回帰モデルを用いました。また、賃貸住宅間の多重検定のためにボンフェローニ補正を用いました。
・追跡期間中に全体で1万638例(24.2%)の死亡がありました。
・持ち家居住者と比較し、すべての賃貸住宅居住者群で死亡リスクが有意に高かくなりました。
・人口統計的変数、健康状態、社会的地位、環境で調整した後でも、賃貸住宅居住者の中では公的賃貸住宅に住んでいた人の死亡リスクが最も低くなりました。
・ボンフェローニ補正を用いた賃貸住宅居住者の多重検定では、公的賃貸住宅居住者は民間賃貸住宅居住者よりも死亡リスクが0.80倍(95%信頼区間:0.72~0.89)であることが示されました。
・公的賃貸住宅居住の高齢者の死亡リスクは持ち家居住者よりも高くなりましたが、このリスクは民間賃貸住宅居住者よりも低くなりました。
以上より、持ち家居住者が最も死亡リスクが低く、賃貸住宅の中では公的賃貸住宅に住む高齢者で最も死亡リスクが低いという可能性が示唆されました。
参考文献:Living in public rental housing is healthier than private rental housing a 9-year cohort study from Japan Gerontological Evaluation Study | Scientific Reports (nature.com)
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