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赤ワインとがん予防

5/22/2025 10:00:04

がん

今日のポイント:赤ワインにがん予防効果なし

赤ワインによる抗炎症作用・抗酸化作用とがん予防効果の関係を調査しました。米ブラウン大学からの報告です。(Nutrients、2025年1月31日)

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2023年12月までに文献データベース(PubMedまたはEMBASE)に収載された論文を対象とするレビューを実施しました。包括基準は、赤ワインまたは白ワインの摂取とがんリスクとの関連を検討している前向きコホート研究または症例対照研究であり、ワイン摂取量を三つ以上のカテゴリーに分けて報告していて用量反応関係を解析できる研究としました。学会発表、症例報告、基礎研究、レビュー論文、および英語以外の論文は除外しました。観察研究のメタ解析に関するガイドライン(MOOSE)に準拠し、42件の報告(コホート研究20件、症例対照研究22件)を抽出し、ランダム効果メタ分析を行いました。

・まず、ワインの種類を区別せずに、ワイン摂取量が最も少ない群と最も多い群のがんリスクを比較した結果を見ると、相対リスク(RR)0.99(95%信頼区間0.91~1.06)であり、ワイン摂取が多いことによるがんリスク低下は認められませんでした。
・研究デザイン、性別、地域、報告年などで層別化したサブグループ解析でも、ワイン摂取によるがんリスクへの影響が見られる集団や条件は特定されませんでした。
・次に、赤ワインと白ワインを区別した解析を実施、その結果、赤ワインについてはRR0.98(同0.87~1.10)、白ワインはRR1.00(0.91~1.10)であり、いずれもワイン摂取による有意な影響は観察されませんでした。
・また、性別、がんの部位別に解析した場合、赤ワインについては、全て有意な影響は見られませんでした。
・それに対して白ワインについては、性別の解析において女性では、摂取量とがんリスク上昇との有意な関連が観察され(RR1.26〔1.05~1.52〕)、部位別の解析では皮膚がんにおいて有意なリスク上昇が観察されました(RR1.22〔1.14~1.30〕)。

以上より、赤ワインにはがん予防効果はない可能性が示されました。


参考文献:
Consumption of Red Versus White Wine and Cancer Risk: A Meta-Analysis of Observational Studies

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