「右利き」か「左利き」かは何によって決まる?
9/10/2026 10:00:08
今日のポイント
→人の利き手を決定付けるような生まれつき固定された大脳半球の優位性は存在しない
人間の利き手はどのように決定されるのか調査しました。米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)からの報告です。(Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)、2026年6月30日)
今回の研究では、健康な成人を対象に利き手と非利き手の運動能力を比較する一連の実験を行い、利き手の運動制御が優れている理由は、脳の左右差による生まれつきの運動能力の差なのか、それとも長年の経験によって培われた技能なのかを検証しました。
最初の実験では、モーションキャプチャーカメラを用いて、被験者が5つのターゲットに向かって腕を伸ばす際の3次元の動作を分析しました。動作は、1)通常の状態、2)手首に約4ポンド(約1.8kg)の重りを装着した状態、3)道具使用を模倣するため、前腕に軽い棒を固定した状態の3条件で実施されました。
・その結果、通常条件では、利き手と非利き手の動きの精度はほぼ同等でした。
・また、重りを装着した状態でも、両腕の動きの精度は同程度でした。
・しかし、棒を固定した状態で手を伸ばすという、より高い運動制御能力と精密さが求められる条件では、利き手の方が明らかに高い精度を示しました。
次の実験では、参加者に左右それぞれの手で文字や数字を書いてもらいました。次いで、左右それぞれの肘にペンを固定して、文字や数字を書いてもらいました。
・その結果、肘に固定したペンで書いたときには、通常見られる利き手の優位性は完全に消えていました。
・予想通りの結果ともいえるが、左右の肘で書かれた文字はいずれもひどいものでした。
筆記という動作を一度も行ったことのない身体部位である肘に切り替えると、練習によって得られた利き手の優位性は消えてしまいます。さらに、練習を重ねると、左右どちらの肘も同程度に上達し、最終的には非利き手では達したことのないレベルまで向上しました。
以上より、利き手の優れた運動能力は練習の積み重ねによって形成されるものであり、人の利き手を決定付けるような生まれつき固定された大脳半球の優位性は存在しないことが示されました。
参考文献:
Arm dominance is an emergent effect of practice executing complex trajectory shapes required by tools and objects | PNAS
この記事が気に入ったらいいね・シェア!↓

