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年齢によるコロナワクチンの免疫応答の違い

1/29/2023 10:00:03

新型コロナ

今日のポイント:高齢者(65歳以上)はワクチン接種後の効果立ち上がりが遅く、効果持続が短い可能性
 

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対するワクチンの個人差・年齢差を検討しました。京都大学iPS細胞研究所からの報告です。(Nature Aging誌、 2023年1月12日)

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ファイザー製のSARS-CoV-2 mRNAワクチン(BNT162b2)を2回接種した65歳以上の高齢者109人(年齢中央値71歳[範囲:65~81歳]、男性56人)と、65歳未満の成人107人(年齢中央値43歳[同:23~63歳]、男性43人)の計216人を対象にしました。血液の採取は、ワクチン接種前、1回目接種から約2週間後、2回目接種から約2週間後、1回目接種の約3ヵ月後の計4回行いました。

  • SARS-CoV-2のスパイクタンパク質受容体結合ドメインに対するIgG抗体価は、両群ともにワクチン2回接種後に大幅な上昇が見られました。しかし、抗体価のピークの中央値は、成人群で27,200AU/mL、高齢者群で18,200AU/mLであり、高齢者群では約40%低くなりました。
  • ワクチン特異的ヘルパーT細胞は、両群ともに1回目の接種で大きく増加し、2回目の接種後も同程度を保ち、3ヵ月後に減少しました。高齢者群では1回目接種後の増加が成人群よりも少なくなりましたが、2回目接種後に同程度となり、3ヵ月後には再び成人群よりも少なくなりました。
  • 2回目接種後の局所的な副反応(接種部位の疼痛)は、高齢者群と成人群で同程度でしたが、全身性の副反応(発熱、倦怠感、頭痛)は成人群で有意に多くなりました。ただし、高齢者群では、解熱鎮痛薬を服用している割合が高くなりました。
  • 年齢にかかわらず、2回目接種後に38℃以上の発熱があった人では、1回目接種後のT細胞応答と2回目接種後のIgG抗体価が高くなりました。
  • ワクチン特異的Th1細胞における、T細胞活性化を抑制するPD-1の発現量は、両群ともに2回目接種後にピークを迎えましたが、高齢者群では成人群と比べて有意に多くなりました。また、PD-1の発現量が多い高齢者では、キラーT細胞の誘導が低い傾向にあり、免疫反応にブレーキがかかりやすくなっている可能性が示唆されました。

 
65歳以上の高齢者は65歳未満の成人に比べて免疫応答の立ち上がりが遅く、持続しにくい可能性が考えられます。


参考:Impaired CD4+ T cell response in older adults is associated with reduced immunogenicity and reactogenicity of mRNA COVID-19 vaccination | Nature Aging

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