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細菌とウイルス

11/26/2021 9:30:02

新型コロナ

今日のポイント:ウイルス感染に抗生物質は効かない 


 細菌とウイルスは全く別のものですが、これらをごちゃ混ぜにしてしまっている人が多数います。「風邪を引いたらすぐに抗生物質」と思っている人がいますよね?今日はこのあたりを解説していきます。

細菌:
細菌とは、一つの細胞のみ持ち(=単細胞生物)、自分の力で増殖することができる生物です。人間の体も細胞でできていますが、多数の細胞が集まり(=多細胞生物)、細胞-組織-器官-器官系-個体の順に構成されています。細菌の細胞と人間の細胞は一つ一つが全く別の構造であり、特に【核】と呼ばれる細胞の中心となる構造に大きな違いがあります。ここを詳しく解説すると非常に長くなってしまうので、詳しいことを勉強したい方は中学・高校生物などの教科書を調べてみると良いでしょう。

細菌は大まかに似たような細胞構造であるため、その分類に対応する薬があります。これが抗生物質です。抗生物質の開発により、細菌による感染症はかなり治療法が確立されてきました。しかし弊害として抗生物質の乱用を生み出してしまいました。結果的に耐性菌を作り出し、本当に必要な時に抗生物質が効かないなんてことがあるわけです。

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ウイルス:
一方でウイルスは細胞と呼べるものがありません。DNAまたはRNAと呼ばれる遺伝情報とそれを包むタンパク質のみからできています。つまり、「細胞」と呼ぶにはあまりにもお粗末な作りなんですね。細菌とは異なり、自分ひとりの力で増殖することができず、常に近くにいる細胞(=宿主)の力を借りないといけません。どの生物のどの細胞の力を借りるのかというのはある程度ウイルスの種類で決まっています。

ウイルスは作りがシンプルであるがゆえに治療のターゲットを決めるのが難しいこと、人間の細胞に侵入して増殖するためウイルスの破壊=人間の細胞もろともダメージを与えてしまうことなどから治療薬は限定的です。

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以上のように、細菌とウイルスは厳密に異なるものです。

 風邪の原因の8~9割程度はウイルスによるものとされています。したがって、本当に風邪であるならば抗生物質はほとんど意味がありません。ただし、ウイルス性と細菌性の両方が原因となって症状が出ている場合もあります。このような場合なら抗生剤の使用は一定の効果があります。

 尚、昨今問題になっている新型コロナウイルス感染症もウイルスによる感染症なので抗生物質は効きません。 
個人での安易な抗生剤の使用は、将来本当に困ったときの【切り札】を失う可能性にもつながります。必ず近くの医療機関に相談してから使用しましょう。

参考: 

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